


単純な操作で変化に富む空間をつくる
3人家族(30代の若い夫婦と幼児1人)のためのコンパクトな住宅の計画。ふたつの直方体を少しずらして組み合わせる。こうした単純な形態操作を用いつつも、スケールの抑揚や空間の隙間を生み出し、豊かな空間性を獲得することを狙いとしている。それぞれの直方体は、外観上、白と黒の外装材で区別している。
スプリットレベルによる断面の設計
1FLを半地下レベルとし、頂部の高さを抑え、北側斜線や日影規制をクリア。第1種低層住居地域の狭小敷地で3階建てを実現している。2階では、東西に配置したリビング・ダイニングの天井を高く、キッチンの天井を低く設定することで、空間にめりはりを与えている。さらに2階の屋根と3階の床の隙間をハイサイドライトとして活用している。シンプルな平面と対照的に、建築の断面においては、平面図では読み切れない、空間の複雑さを与えている。
行き止まりのないワンルーム
2階のリビング・ダイニング・キッチンは敷地北
東の「桜の樹公園」を望む適度な高さに浮かぶ生活のプラットフォームとして構想した。白く仕上げられた抽象的でおおらかなワンルーム空間の中心に、水廻りを配置し、このボリュームの周囲を回遊するプランとしてまとめている。
透過する空間
建て込んだ周囲からプライバシーをまもるために、外周面に大きな開口をあけることを意識的に避けている。唯一、ファサードに設けた大きな水平窓は、桜の樹を借景として取り込むための窓である。基本的には、ふたつの直方体のズレに生じる、いくつかのスリット状の隙間を、採光のための窓としている。特にリビングとダイニングに設けられた水平のスリットは外部から覗かれることなく明るい室内環境の実現に寄与している。外観の閉じた表情とは対照的に、内部は意外なほど開放的であり、視線が様々な方向に抜け、思いがけない遠景が視界に飛び込んでくる。3階の子供室とルーフバルコニーからはリビングを介して外部の街が見える。反対にリビング、ダイニングからは、内部(3階の子供室)と外部(ルーフテラス)が同時に見える。こうした重層的な空間の見えが輻輳する不思議なインテリアとなっている。
















