

敷地一杯にL字型の平面を設定し、北東の敷地の残りの部分にドライエリアを設けささやかな庭を確保している。建物は地下1階地上3階建てで、敷地が北側接道であるため斜線制限が緩やかであることと、天空率の緩和の利用により、フットプリントは小さいながらも上方に積層することで、大きな容積を確保した。直方体のボックスを北向きと東向きに互い違いに積み上げた構成とし、地下を事務所、1階から3階を住居としている。
積層するボックスの隙間はフルワイドの開口をもつ外部の様な明るい空間となる。これより一層ごとに北と東に開いたフロアが交互に現れ、内部空間の方向性が変化に富むものとなる。道路からの視線を避けるように少し高い位置に空けられた寝室のコーナー窓、北側の空き地に向けて大きく開いたキッチンのコーナー窓、ダイニングの吹き抜け上部に設けたハイサイドライト、さらに、北側斜面の遠くに見える緑に開いた3Fリビングのピクチャウインドウは、それぞれ階ごとに90度ずつ向きを変えながら周囲の風景が分解されて室内と接続されている。
構造の計画としてはRCラーメン構造でありながら、偏平な柱型とすることで強固な壁体内に収め柱型が室内に出ない納まりとした。コーナー窓の角の柱は省略してダイナミックなキャンティレバー構造とし、積層するボックスの間に隙間をつくっている。外観はRC打ち放しによる素朴で簡素な箱のコンポジションであるのに対し、内部は白の壁を基調とし、床と天井といった水平面に木質系、黒皮鉄板を用いたキャンティレバーの階段と手すり、自然石の床など豊かな素材感を持つ。
















