


この敷地は、開発によって細かく分割され、道路の角切りをされた挙げ句、狭小でひどく歪んだ多角形の形状をもつこととなった。
前面道路と引き込み道路の道路斜線により、建物の高さは自ずと限定される。この敷地に建てられる最大限のボリュームを検討した結果、1)天空率の緩和、2)建物を600mm埋める、3)3階のボリュームをセットバックする、などの工夫により、通常では難しい3F建てを実現している。
リビング・ダイニングを配置した2階は、壁式構造で認められる最大のスラブ間寸法(3,500mm)を確保し、天井が高い大らかなワンルーム空間としている。平面の中央に水回りを納めたアイランド型の「小さな建築」を納めている。この「小さな建築」だけは木造でつくられている。
水回りの上部はロフトとして利用する。高い天井と「小さな建築」の屋根に挟まれた隙間の空間は、子供のお稽古ごとや家族全員にとってのちょっとした休息の場として使われる。もっとも現在は、子供たちの格好の遊び場となっている。
建物の外形は敷地境界線をほぼ正確にオフセットしてつくられている。この折れ曲がる外周の壁をインテリアに効果的に活かすため、2階では、生活者が外周の壁に沿って中央の「小さな建築」の廻りを螺旋状に回遊するように動線を計画した。
中3階レベルのスタディスペースは、リビングのレベルから600mm上がったスキップフロアになっている。北側に面する校庭の緑と関係を結ぶように、横長の水平窓と長いデスクを設けた。
構造の計画として、外周の壁を強固なRC壁式構造とし、2F内部に一室空間を実現している。下部に支持構造を持たず宙に浮くことになる3Fのボリュームは、2Fの壁の頂部に大きな逆梁を東西に架け渡して支持している。







